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フィンランドと日本の教育ー講演のそのあとで

ーーWEBで、こんな講演の感想をいただいていたことが、ある方から教えてもらってわかりました。どなたの記事かは分からないのですが。どこかで今日もきっと子供たちへの熱心なご指導にあたられていることと思います。記事とレビューをありがとうございます。私も頑張ります。----(柏木)

大阪教育大学連合教職大学院教授 柏木賀津子先生の講演を聞きました。フィンランドの教育改革が進んだ要因について、実際にフィンランドに滞在して教育現場から得た知見を伝えてくださいました。主にフィンランドの教育改革が進んだ要因についてまとめます。

◼︎何が影響して教育改革が進んだのか?
●教育制度
・全ての生徒に同じ教育を与えても同じ成果が出るとは限らないが、フィンランドは産業国家を目指し、将来に何を目指すかわからない、全ての子どもに16歳までの教育を等しく準備している。
・これは、FPSTAフィンランド小学校教員連合が5年間の国民的議論のもと提案し、教育政策に大きな影響を与えた。今日の知識基盤社会の基礎となった。
・結果として中学校入学者が増えた。
34000人(1956年)→324000人(1970年)

●教員採用試験
・フィンランドの教育学部は入試倍率13倍と超難関。
・初等教育レベルの教員で修士が求められる。
・採用は各教育委員会、校長裁量で3-5年契約。引き抜きもある。

●大きな教育改革 1995年
・学校に教育に関する決定権を委譲する教育改革を推進している。
→学校を取り巻く地域社会のニーズに学校が速やかに対応できる。
・全国カリキュラムガイドラインは教育省が策定し、週あたりの授業時間等は自治体又は学校が、勤務校の教育課程の編成及び教科書策定の決定権は教員が持つようになった。

●教育システム
現場ベース。校長先生が学習指導要領を作りに出かけていくことも。学校以外も教育関わる全ての人たちの意見を尊重している。

また、議員立候補者の20%は、教員や教育関係者である。

◼︎21世紀の学校教育における、世界共通の課題…→目的と実情の乖離

・トップダウンで先進的教育改革が提唱されても、それが達成されることは難しい。目的と実情が大きく離れると現場側にも諦観の念が広がる…

●Teacher Agency 運営への価値観 を持つ!
・トップダウン組織ではなく、個々がネットワークや起業家精神を持つこと、多方面と協働しコンタクトを構築すること、得たスキルは他者にコーチングできること。

★自らのTeacher Agencyを探してみる。小さな改革をはじめてみる!

【まとめ】
講演タイトルの「ほこさき」には、フィンランドのごく当たり前の教育風景から、フィンランド教育の良さを見つけることができるという意味が込められているそうです。僕自身も、決して背伸びせず普段の教室でTeacher Agency を持つことから、小さな改革をスタートしたいと思います。そして、Teacher Agencyの育成には、子どもに最も近い現場の声が大切にされることが影響していると感じました。まずは学校という小さなスケールから、教員一人ひとりの声が尊重される、緩やかにつながって気軽に議論できる職場したいです。講演を通して、柏木先生はフィンランドの教育の魅力を紹介するだけでなく、フィンランドと比較した上で日本の教育の良さにも触れていたのが印象的でした。現場にいると今日の学校を取り巻く不安要因にばかり目が向きがちですが、日本と教育面・文化面で意外にも多くの類似点を持つフィンランドが、教育改革に成功したのだから、日本も変わっていけると前向きに捉えて、自分なりに仕事に取り組んでいきたいと思います。