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日本のバカロレア校

弾丸Visit-バカロレア中高一貫

 

フィンランドから帰国してから、なんとか見つけた時間には、日本の学校を、EUを見てきた視点を持っている間に、見ようと思い、縁があれば、どこまでも出かけていきます。「この学校」「この人」、それが公立であれ私立であれ附属であれ、この地球上で、各国で、学校というものが社会からどの程度大切にされ、期待されているのか、そういう目で見ようと思っています。ヨーロッパでは、実にそれは様々でした。国の政治の犠牲になりかけている学校教育を目の当たりにした国では、必ず、先生たちの顔は曇っているし、疲れてしまっています。上手く行かなくて効力を感じていないのです。いったいどうして我が国は、こうなっているんだろう??と考える暇もなく仕事に追われる。それは、日本の話ではないのです。教育を大切にしない国は、きっと亡びると思います。日本でも今は大変なのですが、どう引き算しても足し算しても、世界が気づいていないだけなのか、日本が気づいていないだけなのか、日本の先生には驚かされることは多いです。

 

中1数学のTOKを参観し、バカロレアを率いるリーダーシップに学びました。非常に先生らの自治力に任されながら、バカロレアの枠によるスタンダードを保つあたり、視点について学んだことは沢山ありました。まだスタートして2か月です。テストによる選抜はあるようですが、中1の数学の授業では、教師の問いに、実に多様な解答を考え、図に表し、白板に式や表を書き込んでいました。先生はTTでおひとりは元有名な私立のNative教員であったと聞きました。中1では、日本の先生が主になり、主に日本語で、導入は英語でされたようです(途中からでしたから推測)。Fold it in halfと、1枚の紙を半分に折り、さらに折っていく。そのとき四角はいくつになるかという問いについて話し合っていました。1回折ったら2つ、2回おったら、4つ、と表を書いたり、式を作ったり、64回折ったときは、〇つだから・・N回では~ なる。前に小さい黒板を持ってきて、実に長い説明を普通にできておりました。見てるだけの子供がほぼおらず、意見を出せている様子。廊下を見ると、先日のブラックホール発見の報道についての1週間を時系列で追い、報道の仕方の違いを比較してまとめていました。圧巻は最新の洋書(それも、今学ぶこと、各教員の専門や取り組みを先取りする形で選書)と、手前からはORT、NDL別の専門へと、流れる動線がに並んでおり、Nativeの司書さんの専門の高さが伺えました。PCやWifi環境は整い、中2の国語では、来週取り組む、パラグラフのある文章を書き、引用をNDLからつけるためのノウハウを学んでいるところでした。1人1台のパソコン。私なりには、日本のバカロレアには、日本の生徒が分かってついて行きたくなるよう、全くImersionではなく、CLILとfocus on formのような発想の教員養成が、大切になるなと直感しました。そのほうが生徒も自己効力が高まります。実は、このために訪問したのではないのですが、思わぬ出会いが連続した一日でした。縁があれば指導法などで連携していきたいと思います。公設民営の枠組み率いるスクールマネジメントの話しを伺いました。長身のカルガリー出身副校長先生と、指導の工夫については、意気投合しました。図書館司書の方からAstrobotanyの取り組み教えてもらいました。政治的には色々あるでしょう。しかしどこからか突き抜けていかないと、なかなか変わらない現状もあります。民間の持つ国際ネットワークが支えており、Native教員は40%、採用基準は厳しく特別免許状が出されます。彼らはほぼ自分がバカロレア校で育ったそうで、あまり多くの説明をしなくてもバカロレアスタンダードが身についているのだそうです。日本の教員らは雇用は民営側になりますが、このバカロレアスタンダードを学び、指導法に思いのある者ばかりのようです。自律的で自由な空間で、必要に応じてディスカッションして教育を進めています。色々考えること多かったです。カリキュラムでは、日本型内容、日本対応と海外の教育の最先端と、バカロレアスタンダードを縦横に知り尽くした、日本の教員のカリキュラムマネージメントの凄さが支えていました。また統括面では、6年後の卒業と進路選択まで思いを馳せるマネージメントと、同時に、FreedomとCreativityをしっかり保つことのバランスを瀬戸際で攻防されている、プロフェッショナルな視点のリーダーシップを感じました。

バカロレアは、世界に散らばる国連職員などが、世界中どこに移動しても同じ質の高い教育を提供するために生まれたことが、最初であろうと思います。国連は世界平和のためのミッションとは言え、一般庶民とは離れた存在でもありスタンダードが保たれる。誰でも無条件で受け入れる公立とは条件は異なる。昨年、ウィーンで世界バカロレア会議に参加したときに見た取り組みが、このように地元で展開されている様子を参観させてもらいました。IBのコースを取る生徒もいれば、グローバルサイエンス などほかの選択肢もありますが、等しくTOKの授業は受けることができ、授業の質がバカロレアスタンダードを満たしているか、1年に一度判断にこられる日があるそうで、インサービストレーニングが必須であるように感じました。これから益々充実されることであろうと感じました。