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Qualitative Research

Experience, as a desire for experience, does not come off. We must not study ourselves while having an experience.

経験は、経験に対する欲望のように消えることはない。私たちは経験を積む間は、自らを探求しようとしてはいけない。ニーチェ

橋の欄干が氷りはじめ、空は青いけれども、気温がグンとさがった。フィンランドの冬は毎日冷えていく。着ていく服を少し間違えると1日大変。朝うっかり昨日と同じ重ね着で出かけたら、凍えてしまうこともある。朝は質的研究講義で英語で学び直し、昼から実際に人にお会いしリサーチさせていただく。見聞きしてると視界は広がるので迷いもあるが、ニーチェのこんな言葉があった。経験し始めたら、探求はちょっと置いておくことにしよう(^^)経験は消えないようです。

さて、博士院生にむけた質的研究法の講義Qualitative research methodology シトネン教授の質的研究法講義でトランプとクリントンの二人のスピーチをスクリプトにして、グループでコーディング中。二人とも沢山スケープゴート使います。誇大化のコードも多く、司会が正しい数字引き合いに出して突っ込んでました。さすが。クリントンは希望的3人称肯定系、トランプは他者否定系で自分を優位に持ってくる。と、私はコーディングしました。クリントンはレーガンなど古き良きアメリカ時代の有名人の話に持っていき、トランプはオバマ前大統領を落としこみ、ボーダー超えてくるとアメリカシチズンが危ないと、危機感を共有しようとする。院生たちもこれは実践的で、面白かったようです。しかしコーディングには深い思考力や、先行知識、カテゴライズ思考、パターン発見、コネクション見る力と、そのあたりの素質が個人にかかるなとは、感じます。個としての研究者は成長するはずだが、皆がそうでもないだろう。英語教育の質的研究も、そのへんが、気になるところです。現場解釈やSLAを学んでないのに、研究法を教わって早速コーディングして投稿というのは、ちょっとどうでしょうか。たとえば、私が医者と患者へのインタビューしたら、専門外で分析はダメダメだろうと容易に想像できます。この講義の組み方も勉強になります。

またスクリーンの二人の政治家の議論は、意味のある箇所は何と少ないことか。日本の政治家も、スケープゴートを引き合いに出して、自分上げている箇所には、アンダーライン引いて報道した方が良さそうです。研究のために研究法を学ぶのもよいが、世の中のスピーチや議論の中の、「なんら厚みのない部分」をさっと見抜き判断する、研究者の成熟が育つとすれば、それは大事な21世紀型スキルです。